2012年3月7日水曜日

クランクバランス取り


本日午前中の作業はクランクのバランス取りです。

その前にコンロッドのピストンピンブッシュを専用工具使って抜き取り、新しいブッシュを圧入いたします。









交換したブッシュをピストンピンのサイズに合わせてリーマー加工したのちホーニングで仕上げます。

今回まとめて組んでるエンジンの中、画像の59FLと68FLHはノーマルよる若干太いピストンピン使用するので2種類のリーマーで加工しています。

*リーマーという工具はドリルで開けた穴やブッシュなどの穴をほんのわずか削りなおして正確なサイズに修正加工する物です。


次にフライホイールワッシャーを交換しておきます













もともとカシメが状態良いとこんな感じですっきり綺麗に交換できますが・・・












こんなカシメ方されてたら大変です。
何を思ってこんなカシメ方するのかわかりませんが・・・結構よく見ます。

私は基本的に点でのカシメいたしません。

しかもそんな多くカシメなくても大丈夫だと思いますが。。。

鋳物なのでカシメすぎるとクラック入って角がボロボロとれて行くので危険です。










カシメる時はワッシャーが浮かないようにしっかり固定しておいてかしめます。

画像ではポンチ先端がワッシャーの方に斜めむいてますがこの角度でのカシメは危険です。

直角より若干ワッシャーより外に斜めの角度でカシメます。

なんでそうするかはカシメられた部分がどういう風
になってカシメられるのかで想像にお任せします。

                                                                                ここからがクランクのバランス取りです。
バランス取りはいろんなやり方や考え方があると思いますが、私はS&S方式でやってます。

スタテックバランスとかいうんでしたっけ?
16年もこの仕事してるのに未だにいろんな専門用語が覚えられません・・・
コンロッドの測定はこんな感じで高さを合わせて     コンロッドの上端と下側をそれぞれ重量測定なのですが。。。まぁ正直アバウトな感じです。                          
写真撮り忘れましたが画像右上に移ってるS&Sの計算用紙に各部計測した数値を記入して計算して出た重量でダミーウエイトの重量を合わせます。











重量あわせたダミーウエイトと専用シャフトをフライホイールに組み付けて水平台の上に置きます。
どの位置で置いてもクランクが回らず止まったままになるよう穴開けたり穴埋めたりで何度も調整していきます。

画像の状態で回転が静止した場合は下の方が重いのでこの場合は上部に元々開けられている穴を埋めていきます。                 





穴埋めは鉄のシャフトを穴の深さに合わせて切削し圧入します。
3か所圧入してもまだクランクピン側が重いので穴埋め追加していきます。

溶接肉盛りで穴埋められてるのもよく見ますがあまり・・・です。

この59FLの場合、穴埋め6か所右横あたりに少し穴開けた状態でちょうどバランス取り完了です。もちろん反対側のフライホイールも同じダミーウエイトにて調整します。



穴開け加工やクランク軽量化など人それぞれいろんな考え方があるようなので何が正解かはわかりません。
高回転で速く走らせるために画像のような穴開けまくりの軽量化バランス取りされた車輌は修正が大変です・・・

あくまでも私の考え方ですが速く走らせるにしてもクランクの穴はできるだけ少なく重たいクランクで仕上げるのが理想です。
クランク軽くして高回転型エンジンに組んだつもりでスピード遅くなる・・・ということも。 トルク、パワー、その他、色んなトータルで考えましょう。
画像は1台分だけですがひたすらバランス取りして(バランス取りせず純正のままのもあります)洗浄後ずら~っと並べて明日まで乾かして置きます。











その他シャフトやベアリング等も洗浄して乾かして置きます。
新品のシャフトでもオイルライン等の穴加工された部分はひたすらごしごし洗浄しましょう。
パーツクリーナーとエアブローだけではとれない製作加工時の鉄粉等が結構あります。








こういうフライホイールに開けられたオイル通路もしっかりゴシゴシ洗浄しておきます。

鋳物なので結構頑固なスラッジが固着してたりです。



やっとひと段落して昼飯でもと思い外でぼけーっとしてたらウチの助っ人H田氏がまたしても会社脱走してサボりにきました・・・

コルベットは私も好きな車です。