2014年8月8日金曜日

66FLH エンジンオーバーホール  クランクケース編



 66FLH、まずはクランクケースセンターの鉄の鋳込みにガタがないか点検。

ここ数年この鋳込みのガタにはずいぶん悩まされここがアウト故に作業が大幅にストップしてしまってる車両が多いです・・・。

今回は左右ともOKでまずは一安心。
右側ケースの鉄の鋳込みはベアリングレースを抜いた状態じゃないと確認できないので点検後、新たにレース圧入。


 カムカバー取り付け部の歪み点検のためシャフト&ノックピンを取り外します。

ノックピンは新品に交換。
点検。

カタカタと動くことはなかったですが真ん中くらいに低い部分あって隙間できてたので歪み修正後改めて点検。

特にナックル~アーリーまでのカムカバーはケース側と共にしっかり歪修正していないと後で痛い目に合います・・・
 歪みが酷かったクランクケースの左右合わせもしっかりと歪み修正。

しかしスタッド穴の状態が悪くスタッドボルトがかなりキツク叩かないと入らない状態でしたのでスタッド穴修正(スタッドが曲がってたわけではありません。

ケースの左右合わせやスタッド穴しっかり修正しておかないとせっかくケースの左右合わせやセンター出しやってもスタッド叩き込んで状態ではそれらの加工が意味ないことになってセンター狂ってしまったりケース破損の原因になってしまったりなので要注意。


ケースの合わせ終わったらまずはシリンダーデッキ面の確認。

元の状態からケースの合わせ方が変わったのでシリンダーデッキ面の左右の段差加減が だいぶ変わりました。

まずはスタッド抜いて無駄に出っ張ってる部分を軽くヤスリで修正した後に歪み点検。

左右の段差は少なくなってますが全体的な歪はひどかったので修正加工致しました。
ケースの合わせ具合が変わると当然フレームに乗せた状態でのエンジンマウントとの加減も変わってくるので先に点検。

 元々はフロントの右側だけ大きく隙間がありましたがケース合わせ直した状態ではほぼどちらも隙間がない感じでOKと思いきや・・・

エンジンが前下がりになってしまってましたので前側には左右ともシム調整致します。

詳しくは後ほど。
 ピニオンベアリングレースのグリグリ加工の前にカムベアリングを圧入しておきます。

JIMS!

と言っても中身はCCIとかS&Sで売ってるベアリングと同じですが。。。
ピニオンシャフト計測。

ピニオンシャフトはJIMS製のに交換されててまだ全然走行距離も少ないので少し修正研磨加工して再利用致します。
ケースの左右合わせ具合がかなり変わった場合はこのグリグリ加工、かなり慎重に・・・

特に最初が肝心です。

何が肝心で何が違うのかわからないままこの加工やっちゃうと。。。

全然センター出てないのにちゃんと出来てると思い込んでそのまま組んでしまってキック重いです。。。

とかわけわからん結果につながります。。。

アナログな加工ですがとても重要な部分です。
そんなもんフライスやマシニングで加工やったほうが精度抜群で良い仕上げになるに決まってると良く言われますが。。。

果たして本当にそうでしょうか?

と言うことでここの加工はアナログな手法で。

そしてこのラッピングTOOL,当然摩耗もするので定期的に新品に交換。

非常~に高いTOOLです・・・。


ひたすら計測&点検。
慎重に慎重に。。。

ココのクリアランスは元々が2.5/100ミリ~3.5/100ミリぐらいでガタガタでした。

(測定時の室温20℃)

今回は出来るだけクリアランス小さく組む予定でしたが・・・

結局1.5/100ミリくらいのいつも通りで。。。
 このエンジン、オイルにかなり金属片が多く混ざっていたので色んなことが心配になります。

と言うことでケース内部のオイル通路もしっかり洗浄したいのでオイル通路の蓋3か所、穴あけ直します

 オイル通路、しっかり洗浄。


オイルシールのねじ穴も軽く最後までしっかり取り付けできるように怪しい工具でねじ山修正しときました。

そんなこんなでクランクケース部分の加工修正は以上です。











エンジンオーバーホールと言うのは今や当たり前のようによく聞きます。

もちろんお客様達からしてみればお店を信用して依頼するわけですから
きちんとオーバーホールされた状態で納車と思うのが当たり前です。

が、残念なことに高い修理代払っても実は全然調子悪い状態で
納車されてる車両が本当に多いのが残念です。。。

先日フェイスブックに書いてちょっと批判された内容があったのですが
敢えてブログにも書いておきます。


一般ユーザー様達が「調子良いわ~」って思うだけのエンジンなら
適当にでも簡単に組めるんです。

果たしてその調子良いは本当に調子良いのか?ってことです。

何故そんなことを言うのかと言うと今回の66FLHもそうですが
組んでる人自体が本当に調子良いってのはどんな物なのか
エンジン各部分きちんと加工修正すると言うのがどういうことなのかとか
きちんと理解出来てないのに適当にエンジン組んで
ちゃんと出来てると思い込んでる人が多すぎるのです。

クランクケースの合わせやセンター出し、ピニオンレースの内径加工でも
同じ工具をつかって同じようにやっても
やってる人の考え方、やり方、物と工具に対する利点欠点を把握してるかどうかで
その仕上がり具合は大きく変わってきます。

たぶんそういうの理解できてる人って本当に少ないと思います。

ただただ、レース内径の仕上がり具合、クリアランスだけをみて
OK,完璧とか・・・

それではお店信用して高い修理代払ってるお客様達がかわいそうです。


もちろん考え方や組み方は人それぞれなので
それに対して批判する気は全くありません。

何かミスしてしまうことは誰にでもあることなので
それをこんなんあかんやんけみたいにブログで
書いたり責めたりする気もありません。

ただ、、、出来もしないのに俺すごい完璧とか
デカい口叩いてお客様達を騙してる方々には。。。腹立ったりします。


じゃあお前は何でも完璧にできるんか!

と言われそうですが・・・

私は自分が凄いとか完璧とか思ったこと無いです。

たぶん死ぬまで一生かかっても俺完璧。とか思えることは無いと思います。

ブログでこういうこと書くとまた他店の悪口言ってるとか批判されると思いますが

他店の悪口とかそんなことは一切どーでも良いのです。

こんなブログ書いて他店から批判されるなら
どーぞ好きなだけ批判してください。と思ってます。

もし文句あるなら是非直接連絡してほしいとも思ってます。

どの部分がどのように気に入らないのかとか。


私のようなやり方考え方を批判する同業者様と言うのは
きっと自分自身のレベルの低さに気づきつつも。。。
それを隠しお客様達を騙し誤魔化し信用とお金だけを得ようとしてる人が多いのだと思います。

だから私がブログで余計なこと書いたりすると自分がお客様達に対して誤魔化し嘘ついてるのが
通用しなくなっちゃうやんけみたいに具合悪くなるから怒ったりするんでしょうか?

逆にそれに気づきもせず本当に自分は完璧とか
思ってる人は・・・怖いです。 結構います。

何がどうであれ、これは仕事なので
技術の向上レベルアップは常の目標というのは当たり前だと思いますし
受けた仕事に対する責任感も大事だと思います。


私としてはあくまでも一般ユーザー様達に対してお店に対する物の見方や考え方の
アドバイスに繋がればなと思ってるだけなのです。

あの店が作るカスタムかっこ良いし有名やし~
バイクの調子はイマイチやけどこの店が良い。

みたいな判断しかできないユーザー様達はそれはそれで構わないと思いますが・・・。


まぁこんな性格やし昔から他店の方々に嫌われてるのだと思います。