2014年7月13日日曜日

66FLH エンジン&ミッション分解点検。

この車両は元々他店でエンジン、ミッション共にフルオーバーホールされてて
調子も悪くないとのことでしたが。。。

オーナー様は納車時よりのキックがめっちゃ重いと言うことと
エンジン&ミッションのオイル漏れが。。。

と気になっていたようでした。

何がきっかけだったか忘れましたがたぶんキックが重い軽いの話から始まって
とりあえずオイル漏れは直したいなぁとかの話で・・・

しかし元々この車両のエンジン&ミッションはとても有名なショップで組まれた物で
私がバラして組みなおしたところで今よりも良くなるのでしょうか?

と、思いつつも。。。

オーナー様の話から想像しただけで乗ったこともない車両でしたが
絶対キックは軽くなりますよ。

とか

バラしてきちんと組みなおせば今より全然調子良くなると思いますよ。

とか。。。

言ってしまいまして・・・

オーナー様は半信半疑ながらもまぁオイル漏れ直ってキック軽くなるならば。。。

ということになりまして。。。



決して何の根拠も無くいい加減なことを言った訳では無く

私的にこの手の感じのエンジンはきっとアレやコレやが具合悪く、
その辺りを要所要所、加工修正すれば。。。

と予想してたのですが・・・

まぁ結論から先に言うと

要所要所どころかエンジンもミッションも想像を遥かに超えて各部ガタガタで
まともな箇所はほとんど無いと言っても言い過ぎではないくらいの酷い状態でした。

ちょっと加工修正して組み直しただけでこれだけ違いがあるのか!!

みたいな結果を楽しみにしていたのですが・・・

残念ながらエンジンもミッションもいつも通りのフルオーバーホールすることとなりました。

まぁ、同じフルオーバーホールでどれくらい違うのかということで・・・

結果は良くも悪くもオーナー様のブログに正直に書かれると思うので
私はここから先、いつも通りの作業報告です。

まずエンジン下ろすべくマウントのボルト&ナット緩めると。。。

フレームとマウントの隙間がかなりありました。

こちらは組み付け時に改めて点検して修正致します。



クランクケース合わせから、オイルポンプから、カムカバーから。。。

結構オイル漏れは酷い感じでした。
念のためコンロッド点検。

コンロッドベアリングがかなりガタガタだったのであまり参考にならずでしたが・・・
フロントのコンロッド、かなりスプロケット側に寄ってます。
リアも同じく。

これはコンロッドが横にズレて寄ってるのではなく。。。斜めってますね・・・。

あまり想像で勝手なこと言うとまた怒られそうですが

私的にはコンロッドのこういう状態もキック重たいとかエンジンが何か熱持ちやすいとかそういう症状の原因の1つだと思っています。


クランクケースの左右合わせ。。。

かなりずれてて合わせ面の段が結構ひどかったです。






ケース分解。


この部分だけ液体パッキンがてんこ盛り残ってます。

と言うことはケース歪んでてここら辺低くなってるのでしょうか?

気になりますがまずは置いておきます.







ケース左側、スプロケットシャフトベアリングのレース、内側は下面が、外側のレースは上面が焼けて変色しておりました。

やはりケース合わせかセンター穴合わせかどこかが歪んでてクランクが斜めになってたのだと思います。

こういう状態だと仮にクランク心出し完璧にゼロ!だったとしても。。。

意味ないです。

こういうのもキック重くなる原因につながるかと。。。


コンロッドのレース、こちらも部分的にだけ焼けて変色しておりました。

全体的にクリアランス広くガタガタでしたが1部分のみ極端にキツ過ぎる箇所がありました。

先のコンロッドが左側に寄ってたのはここのラッピング状態が悪くコンロッドがクランクピンに対して斜めになってしまってました。
この部分、歪みや捻じれがあると怖いのは。。。

コンロッドベアリングのローラーケージに悪影響及ぼしたりします。

この車両の場合も・・・

ケージ側面が焼けて互いに噛み合ってしまいかなり削れて段ができてしまってます。

特にこのアルミケージの場合、1度こうなるとケージ粉砕するまでどんどん削れていきます。

ピンボケですみません(誤魔化してる訳ではないです)

ピニオンシャフトのフライホイールにハマるテーパー部、緑のロックタイトがべっとりです。

で、ロックタイトが固まってオイル穴が半分くらい埋まってしまってます。



穴周辺だけでなく中からもロックタイトの塊がポロポロいっぱい出てきます。

ピニオンシャフトのみならずクランクピン両サイドもスプロケットシャフトもテーパー部にロックタイトべったりでした。

オイル穴ある個所には危険ですね。。。


オイルポンプ点検。

リターン側、何やらかなり大きな異物を噛みこんでしまったようで。。。

要交換。
バルブは4本ともガイドとのクリアランス、ガッタガタでした。

エギゾースト側は前後ともステムとガイド内部が焼き付いてしまっており右側のは軽く叩かないとガイドから抜けない状態でした。

全てのガイド&バルブ要交換です。。。
せっかくバラしたんだしエンジン綺麗にしたい。

とオーナー様がおっしゃってられたので他のショベルのヘッドと一緒にブラストあてて各部しっかり点検。

バルブガイド抜いたら1か所何やらおかしなことになっててガイド圧入穴がかなり歪んでしまってました。
フロントのエギゾーストポート部

何か大きな巣穴みたいなのが。。。
中から見ると・・・

見事に貫通しておりました。

わずかですが常に排気漏れ状態だったかと。

しかもこの巣穴軽くホジホジしたら実は中の巣穴がかなり大きくて。。。

けっこうデカい穴になってしまいました・・・

後ほど溶接で直します。

プラグ外した時、ぐにゅっと嫌~な感触だったプラグ穴、ヘリサートでネジ穴修正されておりましたが奥のほうがかなりヘリサート浮いてて軽く引っ張っただけでびよよーんっと取れちゃいました。

ヘリサート入れるヘッド側のネジ山がかなり緩く変な捻じれがあったのできちんとヘリサートがはまってなかった感じでした。

が、

ここは出来ればヘリサートでの修正は避けた方が良いかと。。。
この車両は元々バラす前からかなり程度良いエンジンだったらしいのですが。。。何故かロッカー周辺のみ取って付けたみたいに異常に汚れが酷くシャフトもブッシュもびっくりするくらい摩耗してガッタガタになってました。

ブッシュ&シャフト全て要交換・・・

ロッカーアームシャフト、かなり痩せてます。。。







エンジン分解点検、何かえらい中途半端な感じですが・・・


続いてミッション分解していきます。

とにかくオイル漏れが酷すぎるメインシャフト部。

いきなりですが、かなり酷いことなってます。。。

何故かスプロケットがかなり外側にオフセットされてて。。。

スプロケットとベアリングサポートがかなり接触してました。
スプロケットナットもベアリングと干渉してしまってます。。。


ミッショントップカバーもオイル漏れ漏れ。

ほとんど全てのボルトが緩々で。。。

ガスケットはちょっと浮いてるような感じでした。
カウンター側、シフタークラッチはいまいちセンター出てない感じです。
・・・。

メインドライブギアの4THシール部、えらいことになってます・・・

シール全体が液体パッキンで盛り盛り。。。

当然シャフトとメインドライブギアは4速時以外は同じように回転してる訳ではないので・・・

ぐっちゃぐちゃなってます。

ここからオイルがダラダラ漏れておりました。

それでもシールはスポっと簡単に抜けちゃう状態で・・・

シールが抜けてしまうのを液体パッキン盛り盛りで押さえていたのでしょうか??

ここはオーバーホール後にも一度オイル漏れ直されたそうですが。。。

何とも残念な感じの修理内容です。。。




メインドライブギアのベアリングレース内部、

左側のみきつくローラーの型がついて凸凹なってます。

下側は何やらおかしな傷がいっぱい。

センターが出て無くて斜めってたのでしょうか?



一応計測。

クリアランスは・・・ガッタガタです。

レース内径も立て横で大きく歪んでます。。。

レース要交換。
そんなこんなで。。
レース、ブッシュ、スタッド等全て抜き取り・・・

エンジンと同じくミッションも完全に要オーバーホール状態でした。。。
で、ミッションとても気になることがありましたのでその部分のみ先に組んで行きます。

まずはSTDサイズのレース外周測定
ケース側圧入穴も測定。

こちらかなり歪み大きく・・・
外注機械加工にてオーバーサイズのレースを圧入致します。。。
今回非常に気になっていたのはスプロケットがやたらと外側にオフセットされて組まれていたことなのですが

スプロケットのオフセットスペーサーが入ってたわけでもなく。。。

基本これらの部品が



こう組まれる訳で。。。

どう考えてもスプロケットがベアリングサポートと干渉するくらい外側に行くことは無いはずなのですが。。。

とか悩んでる間も無く、最速でケースが外注機械加工から戻ってきました。

忙しいのにありがとうございます。。。

そしてオーバーサイズのレース圧入した時、

やっと謎が解けました。
これです。

このレースは内側からリテーナーリングで止める溝があるのですが・・・

リング溝とケースとの間がえらい大きいです。

リングはめてもケースと隙間ありすぎでリテーナーリングが意味無いことになってます。

しかしバラす時の記憶ではこのリテーナーがケース側にびたっとキツく接触しており、リテーナーリング取り外すのが大変なくらいでした。

元のレースと今回圧入したJIMSのレース。

溝位置など寸法は全く同じです。

ということは・・・

レース自体がズレて動いたか意図的にリテーナーで止まる位置までズラされたかはわかりませんがレースごと外側に寄ってたと言うことでした。。。

危険です。。。

それでレースが斜め向いてセンター狂ってたのでしょうか??


加工前に点検。

レースをきちんと奥まで圧入した状態でメインドライブギア、ワッシャー、スペーサー、スプロケット等仮組します。


メインドライブギアを中から押し出した状態でも・・・

干渉して無く、スプロケットも通常の位置でついてます。

だいぶ悩みましたが無事解決で、まずは一安心。

画像足りてない部分は組みながらの補足説明していく予定です。